棟ごとに作り手が違う
すべての部屋が専用玄関のある一棟貸し切り宿である。Bed and Craftは町に点在している施設から成り立ち、一棟貸切の宿を中心に町の工房や飲食店を巡っていただく構成である。各棟は、手工業デザイナー・大治将典(OUKA)、木彫刻家・前川大地(KIN-NAKA)、陶芸家・前川わと(MITU)、仏師・石原良定(TenNE)、作庭家・根岸新(RoKu)、木彫刻家・田中孝明(TATEGU-YA)、漆芸家・田中早苗(taë)がそれぞれ手がけている。チェックイン手続きはBnCラウンジで行うが、宿泊場所とは異なる。
客室の違いが広さや眺望ではなく、誰が手がけたかの違いになっている。どの棟を選ぶかは、どの作り手の仕事の中で眠るかを選ぶことに等しい。棟が町に散っていて、チェックインのラウンジが宿泊場所と別であるため、到着から就寝までのあいだに必ず町を歩くことになる。仏師の石原良定が井波で独立した経緯のように、作り手の側にもこの町との具体的な関係がある。
AKUMATOは知名度ではなく中身を見る。この宿が持っているのは意匠の新しさではなく、「1棟=1人の作り手」という割り当てと、館内で完結させない動線の設計である。客室を1施設に集約した宿では、この構造自体を作ることができない。
こんな旅に:工芸の作り手に実際に会うことが旅の目的で、宿の中に留まらず町を歩いて滞在を自分で組み立てられる方に薦める。設備の充実ではなく、ものづくりとの距離を求める旅に向く。
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